眼内レンズがズレたら
白内障手術後、眼内レンズの袋が破れたり、袋を支えているチン小帯という靭帯が緩んで切れてしまったりすることで、挿入した眼内レンズがズレたり(偏位)目の奥へ落下してしまうこと(脱落)があります。
眼内レンズの偏位や脱落が起こると、急にものが見えづらくなるなど、見え方に変化が起こり、眼圧上昇や虹彩炎を引き起こすリスクも上がるため、再手術が必要となります。
白内障手術後に目を強くこすったり、目を強くぶつけたりすると眼内レンズの偏位や脱落につながる危険性があるため、注意しましょう。
白内障手術の再手術
(眼内レンズ強膜内固定術)
眼内レンズの偏位や脱落が起こった場合、眼内レンズを水晶体の袋ごと摘出し、再度新しいレンズを挿入する手術が必要です。
しかしこの再手術では、水晶体の袋がなくなってしまうため、新しいレンズを眼内に固定する際に、レンズの支持部(ループ)の一部を白目の強膜に直接埋没する方法(強膜内固定術)で眼内に固定します。
強膜内固定術では、眼内レンズを正確に固定するために、硝子体の処理が必要となるため、硝子体手術も同時に行います。
眼内レンズ強膜内固定術が
必要ない白内障手術後の症状や疾患
白内障手術後、視力が回復するまでの期間に、光がまぶしく感じる以外の見え方の違和感があらわれる場合があります。
白内障手術後に発症しやすい病気は以下の通りです。
飛蚊症
飛蚊症とは、視界に黒いゴミのようなものや蚊のようなものが飛んでいるように見える症状のことをいいます。黒い異物の形や大きさは様々ですが、視線を動かすと追いかけてくるような動きをする特徴があります。
飛蚊症は、硝子体の濁りが原因で起こることが多く、白内障の手術で水晶体の濁りを取り除くことで、もともとあった硝子体の濁りを自覚しやすくなることで起こります。
ほとんどの場合は2〜3ヵ月経つと慣れて気にならなくなることが多いです。
ただし、白内障手術後に網膜剥離が起きる場合にも飛蚊症が起こることがあるため、白内障手術後に飛蚊症が起きた場合には念のため医療機関を受診しましょう。
後発白内障
後発白内障とは、白内障手術後数ヵ月〜数年が経つと、もともと水晶体が入っていた袋(水晶体嚢)が濁りはじめ、再び視力が低下する状態のことをいいます。
後発白内障はYAGレーザー治療(後嚢切開)によって視力を回復することができます。
嚢胞様黄斑浮腫
嚢胞様黄斑浮腫とは、白内障手術後に起こる黄斑浮腫です。
点眼や飲酒禁止などの手術後の医師の指示を守れなかった場合や、糖尿病網膜症を抱えている方に発症することが多い症状です。
点眼や禁止事項など医師の指示を守り、検診を受けることが大切です。
術後眼内炎
術後眼内炎とは、手術によってできた傷から細菌が感染することで起こる目の炎症です。
多くの場合は、手術後早期に起こりますが、適切に点眼を行っていれば発症することはほとんどない病気です。
手術の翌日以降に急激に目の痛みや見えにくさがあらわれた場合は、できるだけ早く受診してください。
網膜剥離
網膜剥離とは、目の内側にある網膜と呼ばれる膜が剥がれて、視力が低下する病気です。
白内障の手術後に起こることがありますが、発症率は低いです。
視野の一部が暗く感じたり、飛蚊症といった症状などが起こります。
できるだけ早く受診しましょう。