- レッドライト治療による小児の近視抑制について
- レッドライト治療のメカニズム
- レッドライト治療の適応条件
- レッドライト治療ができない方
- レッドライト治療の流れ
- レッドライト治療の副作用 / 中断すべき症状
- レッドライト治療の費用
レッドライト治療による小児の近視抑制について
レッドライト治療は、近視の進行を抑える新しいアプローチとして注目されています。2014年、中国の研究により、650nmの赤色光(レッドライト)が眼軸の過剰な伸長、つまり近視の進行を抑制する効果を持つことが発見されました。
その後、2021年にはアメリカの眼科学会誌で紹介され、近視抑制に対する効果の高さから国際的な注目を集めています。
この治療法を適切に実施することで、近視の進行を約90%抑制できるという効果が確認されています。
長期的な効果についてはさらなる研究が必要とされていますが、これまでに重大な副作用は報告されていません。
治療は、特定の機器「レッドライトセラピーの近視進行抑制治療器」を使用し、ご自宅で手軽に行うことが可能です。
近視進行を抑えたいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
注目されている理由
近年、子どもの近視が増加しており、その治療法は進化を続けています。これまで主流とされていた方法には、眼鏡やコンタクトレンズ、オルソケラトロジー(夜間装用型コンタクト)、および低濃度アトロピン点眼薬がありました。
しかし、これらを上回る効果が期待されているのがレッドライト治療です。
近視は、眼軸長(眼球の長さ)が伸びることで進行します。一度伸びた眼軸が元に戻ることは困難とされていましたが、レッドライト治療はこの常識を覆します。
レッドライトは、眼軸の伸長を抑制するだけでなく、すでに伸びた眼軸の改善にも効果を発揮するとされています。
この二重のアプローチにより、近視の進行を抑えるだけでなく、視力を改善する可能性がある点が注目を集めています。
お子さまの近視に関するお悩みがある方は、ぜひ当院へご相談ください。
レッドライト治療のメカニズム
近視治療において、眼軸長の伸長を抑制することが重要とされています。
これを実現する新しいアプローチが、レッドライト治療(レッドライトセラピーの近視進行抑制治療器)です。
この治療では、650nmの赤色光を眼底に反復して照射することで、以下のメカニズムが働きます
- 眼底の血流を持続的に増加させる。
- 強膜低酸素症を緩和する。
- 緩和された強膜低酸素症により、強膜のリモデリングが促進される。
これらの作用により、眼軸長の伸長が遅くなり、結果的に近視の進行を抑えることができます。
レッドライトセラピーの近視進行抑制治療器について
レッドライトセラピーの近視進行抑制治療器は、オーストラリアのEyerising International社が製造した、近視進行を抑制するための機器です。
RLRL療法(Repeated Low-Level Red-Light therapy)として知られるレッドライト治療にも使用されています。
主な特徴
- 30カ国以上で医療機器として認可されています。
- 世界中で15万人を超える小児治療に利用されています。
ただし、日本国内では未承認の医療機器となり、自費診療となります。
レッドライトセラピーの近視進行抑制治療器の安全性について
レッドライトセラピーの近視進行抑制治療器は、日本工業規格(JIS C 60825-1:2014)のクラス1基準に準拠したダイオードレーザーを採用しています。
最大2.5mWの出力と1600Luxの照度を特徴とし、3分間の使用で瞳孔径4mmを通じて網膜に0.29mWのエネルギーを与えます。
このエネルギー量は健常な網膜において障害を引き起こさない安全な範囲内で設計されており、眼球への直接照射にも配慮された安全性が確保されています。
さらに、レッドライトセラピーの近視進行抑制治療器は、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスを含む30カ国以上で医療機器として認可されています。
その品質、安全性、有効性が国際的に高く評価されており、他地域でも認可が進められている状況です。技術的な先進性と信頼性を兼ね備えた近視治療として注目されています。
レッドライト治療の適応条件
- 3歳〜18歳までのお子さま
- 近視の患者さま、または年齢相当より少ない遠視度数があり近視発症リスクが高いと考えられる患者さま
- 医師が治療可能と判断した場合
レッドライト治療ができない方
- 斜視がある方(全例ではございません)
- 両眼で見ることに異常や抵抗がある方
- どちらかの眼に異常がある、または全身疾患のために治療が不適合と判断された方
- 遺伝性網脈絡膜疾患の家族歴がある方や、瞳孔散大の特性があるお子さま
- 低濃度アトロピン点眼を使用している患者さま(治療前に14日間の休薬が必要)
- その他、医師が治療不適合と判断した場合
レッドライト治療の流れ
受診の流れ
1適応検査
視力、屈折検査、スリット検査、眼軸長、眼底検査などの検査を行います。
2 デバイスの注文・貸与・登録
デバイスを医療機関から貸与します(第三者への譲渡、貸与、転売は禁止されています)。
ご自宅へ持ち帰り、デバイスの登録を行ってください。
3治療
レッドライトを1日2回、1回3分間使用します。
治療後は3分程度、目を閉じて休めます。
治療間隔は最低4時間以上あけ、1週間に5日間、合計10回行います。
4 定期検査
治療開始後は以下のタイミングで定期検査を受けてください。
- 治療開始から1ヵ月後
- 3ヵ月後
- 6ヵ月後
- 12ヵ月後
- それ以降も6ヵ月ごと
デバイス使用の流れ
1デバイスの準備
患者さまは本デバイスをインターネットに接続し、ご自宅で治療を行います。
コンタクトレンズや眼鏡を使用している場合は、治療前にそれらを外してから使用してください。
2使用
1日に2回、1回につき3分間赤い光を照射することで治療効果が得られます。
1日の治療間隔は4時間以上空ける必要があります。また、1週間あたり5日間、計10回の治療を行ってください。
特記事項
安全に使用していただくため、機器はオンラインでポータルサイトと接続し、治療時間や治療間隔、日数などをシステムでコントロールします。
規定の照射時間や回数を超えての使用はできないように設定されていますので、安全に管理されています。 使用中の操作はタッチスクリーンのみで行われるため、お子さまでも安心してご使用いただけます。
ただし、3~8歳のお子さまが使用する際は、必ず保護者の管理下で使用してください。
レッドライト治療の副作用 / 中断すべき症状
短期的な副作用として、まぶしさ、閃光盲、残像が生じることがあります。残像が発生した場合は、3分間目を閉じてください。
もし、5分以上症状が続くことが3回以上確認された場合は、本デバイスの使用を中止し、眼科医に相談することをおすすめします。
治療中に光過敏症や眼刺激、眼熱傷などの不快感が生じた場合は、すぐに使用を中止し、眼科医に相談してください。
実際の臨床において、網膜障害や視力低下を引き起こした症例の報告もあります。
光治療に過敏な反応を示す稀な有害事象であると考えられていますが、治療を中止して数ヵ月後には症状が回復したと報告されています
自覚症状としては、「治療後に5分以上持続する羞明や残像」の訴えが見られます。
そのため、治療後に同様の症状が3回以上続いた場合は、使用を中止し、医師までご相談ください。
レッドライト治療の費用
本治療は自由診療となるため、保険診療は適応されません。
検査・治療
項目 | 費用 | |
初年度 |
適応検査 |
¥11,000(税込) |
治療費・検査費 |
¥165,000(税込) |
|
1年目以降 |
検査費 |
¥5,500(税込) |
デバイスレンタル
サブスクリプション | 毎月払い | ¥8,250(税込) |
---|---|---|
1年分一括払い | ¥89,100(税込)10%割引 | |
2年分一括払い | ¥158,400(税込)20%割引 |
よくある質問
現在オルソケラトロジーを行っていますが、レッドライトとの併用は可能ですか?
レッドライト治療は、他の近視抑制治療と併用できるものとできないものがあります。 併用可能な場合:レッドライトとオルソケラトロジー 併用不可な場合:低濃度アトロピン点眼薬とレッドライト(※低濃度アトロピン点眼薬には瞳孔を広げる作用があり、レッドライトの光が眼の中に入りすぎてしまう恐れがあるため) また、オルソケラトロジーと低濃度アトロピン点眼薬の併用は可能です。
1日に1回しか治療できなかった場合は?
1週間のうちに合計10回の治療を行えば問題ありません。
治療途中で、停電やWi-Fiが繋がらなくなった場合は?
治療が開始された時点で1回分としてカウントされます。 ※デバイスを再起動しても4時間を経過するまでは使用できません。
成人した大人でも使用できますか?
デバイスの使用は可能ですが、本来の対象は3〜18歳までの小児です。そのため、大人で同様の近視進行抑制効果が得られるかどうかは不明です。
家族など複数人での使用はできますか?
デバイス1台で最大5人まで共有可能です。 ご家族で使用する場合、2人目以降の検査・治療費は66,000(税込)円になります。また、使用者ごとにサブスクリプション登録が必要で、1アカウントごとに1日2回、4時間おきの治療照射が可能です。